tasukeLサポーター研究所最新情報

広島の新スタジアム問題 サポーターに求められるのは地域づくり視点


広島市は、サッカースタジアム建設に明確な回答を」という石橋竜史・広島市議による一般質問がサポーターの間では絶賛されている。しかし、ちょっと角度を変えて地域づくりや行政の視点で質問を読んでみると「で?」という解釈になる。なぜなのか?地元愛の意識が強いとされるサポーターだが、実は地域づくりの視点でスタジアムを語れる人は少ないことに、みなさんはお気づきだろうか。

今、行政がサッカースタジアムを建設する理由は何だろう?プロサッカークラブのためにではない。「地元の誇りをもってもらうため」でもない。そこに雇用が生まれ、人口増加に繋がり、または地域外からの来街者が増えて交流人口の増加に繋がり、地域に、仕事や金が増えて地域が潤うことが建設の目的だ。

DSCF2053

ここで少し、行政を取り巻く社会環境をおさらいしたい。2014年7月25日、内閣官房に「まち・ひと・しごと創生本部」設立準備室が発足して以来、「少子化対策」「東京集中是正」は大きな課題として、広く国民の間で共有されるようになった。2040年には人口減少が原因で896自治体が消滅の危機を迎えるとされ、今、地方自治体では、速やかに政策課題を解決する必要に迫られている。人口が減少すると税収が減少する。そうなると、例えば穴の空いた道路を修理する予算すら確保できなくなるのだ。つまり、残念ながら自治体は、生き残りをかけて、税収確保のために他の自治体と人口(交流人口を含む)の奪い合いをしているのが現実だ。

そのために、周辺での開発の余地の少ない市民球場跡地と宇品などを比較して、どちらが行政として大きな効果を生み出せるかが判断の基準となる。今は不評なビッグアーチだが、行政視点では成功だったのではないだろうか。あのような山奥だが、そこにスタジアムが建設されたことで、周辺の開発が進み、選手村を転用した高層マンションをはじめとした住宅が立ち並んでいる。平地の少ない広島において、新たな地域づくりに役立ったのだ。

DSCF2049

行政が、そのような環境にあるだけに、サポーターの「強いサンフレッチェの相応しいスタジアムを!」「足の便の良いスタジアムを!」「宇品は不便!」では、あまりに主張が一方的すぎると感じる。行政の考える地域づくりの視点で、スタジアムはどのように役立つのかを主張しなければ、行政には声が響きにくいのではないだろうか。

なお参考までに人口予測のデータを紹介しておこう。ビッグアーチのある広島市安佐南区は2040年の20~39歳の女性の人口減少が、わずかに1.8%と推測されているという全国でも稀な人口減少が少ない地域となっている。宇品のある広島市南区は37.7%の減少が推測されている。